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STRAWBERRY★LION

とりあえず生きてますΣd(-ω-`d)
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CATEGORY ≫ (小説)流華幻想
  • 111(最終話) (2005.07.22)
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111(最終話)

どれ程の時間が経ったのか、分からない。

だがもう東の空が明るくなり始めていた。

ルカが目を開けると、目の前にマリアが倒れていた。急いで起き上がり、ゆすってみる。

「マリア・・マリア!」

「・・ん・・。」

何とか生きているようだ。

「マリア、大丈夫?怪我してない?」

「ルカさ・・。」

マリアはゆっくり起き上がった。

「大丈夫です。怪我してません。」

笑顔で答える。

「よかった。」

マリアが抱いていたじぇらも無事だった。

「ロキ!!エレイン!」

今度は2人をゆすってみる。

「・・ん・・・。」

「・・あれ・・。」

何とか意識を取り戻す。

「・・生きてる・・。」

「よかった。無事で。」

ロキたちも無事と分かり、ルカはホッと胸をなでおろした。

ふと辺りを見ると、瓦礫の山が見えた。魔物のせいではなく、恐らくルカの力だろう。

「魔物は・・・消えたようね。」

エレインが気を探り、そう告げる。

「他に誰が生き残ってるとか・・分からない?」

ルカに問われ、エレインは首を振った。

「残念ながら分からないわ。」

「そう。でももし・・俺たちだけだとしても・・新しく世界は作れるよね?」

明るくルカが問うと、ロキたちは頷いた。

「できるよ。きっと。」

希望の言葉を噛み締めて、ルカは空を仰いだ。

姿を現した太陽が希望の光のようにルカたちの上に降り注いでいた。
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110

ゾルグの顔色はみるみる悪くなっていた。意識も遠のいているようだ。

死期を悟ったゾルグはルカに自分のしていた指輪を渡した。

「僕が居なくなった後・・頼んだよ。」

そう言うと、ゆっくりと目を閉じた。

「嘘・・だろ・・。父さん!!父さん!!!!」

ルカは信じられずにゾルグを揺らしたが、反応はなかった。

「ゾルグ様・・。」

あまりにも穏やかな顔をしているゾルグを、ロキはゆっくりと寝かせた。

ルカはゆっくりと立ち上がった。

「ねぇ、皆。俺・・力を全開にしてみようと思う。もしかしたら、皆死んじゃうかもしれないけど・・。・・どっちにしても、このままだとあの魔物にこの世界をダメにされてしまう。そうなるより、この力に賭けてみようって思う。」

ルカの話を聞いたロキは頷いた。

「いいんじゃないか?ゾルグ様もルカが正しいって思ったことをしろって仰っていたし。僕は覚悟してる。」

「私も。貴方が思ったようにやればいいわ。」

エレインがロキに同意する。

「あたしも・・覚悟はできてます。」

マリアも頷き、ずっとマリアの肩に乗っていたじぇらも「ニャー」と返事した。

ルカはロキたちに背を向け、前方に感じる負の妖気を見据えた。

「どんなことになっても・・後悔しないよ・・父さん。」

そう呟き、ルカは深呼吸した。この力がどれ程の威力を持っているのか、正直分からない。だからこそ、覚悟が必要だった。もしかしたらルカ自身も死ぬかもしれない。周りに居るロキたちも。

ルカは気を集中させ、力を全開にした。



その瞬間、辺りは無音になり、真っ白な光に包まれた。

109

「モンスターの力を貴方が吸い取るの。」

「は?」

エレインの言葉の意味を掴めず、思わず聞き返す。

「気を集中させれば・・可能かもしれないけど・・危険が多すぎるわね。」

言った本人が止めようと言い出す。

「じゃあ・・どうしたら・・。」

その時、突然ゾルグが咳き込んだ。異様な咳をし、血を吐いた。

「こりゃ・・ヤバイな・・。」

血を吐いた本人がそう呟く。

「僕の・・力が・・尽きようとしてるみたいだ・・。」

ロキに支えられ、木を背もたれに座る。

「えっ!?」

「魔物が突然現れ出して、僕の力が吸い取られてるみたいだ。」

息苦しそうに答える。どうにもできないのだろうか。ルカは考えた。

「ねぇ・・俺の力、もし全開にしたらどうなる?」

ルカの問いにロキは少し考え答えた。

「全てが滅びるか・・魔物だけが滅びるか・・分からない。」

「そんな・・。」

ルカは他に方法はないかと考えた。その間にゾルグは段々弱ってきた。

「ゾルグ様・・。」

エレインが魔法でどうにかしようとしているようだが、全然効かないようだ。早くしないとゾルグが死んでしまうかもしれない。

「・・カ・・。・・ル・・カ・・。」

力ない声で呼ばれ、ルカはゾルグに駆け寄った。ゾルグはルカの頭を撫でた。

「もうすぐ・・僕は居なくなる。・・・そうすればルカが・・全部決めなきゃいけない・・。思ったことを・・やればいい。ルカが・・正しいって・・思ったことを。・・きっと・・お前ならできるよ・・。」

ゾルグは途切れ途切れにそう言った。ルカは涙が込み上げて来た。ゾルグは相変わらず優しく微笑んでくれた。余計に涙が溢れる。

「・・父さん・・ありがとう・・。俺・・正直怖いけど・・やってみるよ。」

初めてゾルグは『父さん』と呼ばれ、とても嬉しかったのかいっそう優しく微笑んだ。







@2回だ(*'▽'*)わぁ♪・・・あんな最後でいいのか不安になってきた・・(-_-;)

108

「一匹どころじゃないって!?何匹居るの?」

ルカは思わず大声で聞いた。

「分からない。ただ一つ言える事。ここだけじゃない。世界中で出没しているみたいよ。」

「そんな・・。」

世界中に散らばっていたら、それを倒しに行く前に犠牲者が出てしまう。

「どうすれば・・。」

ルカは呆然とした。

「それこそお前の力を使うべきじゃないのか?お前の力なら、ここに居ても世界中のモンスターを殺すことができるんじゃないのか?」

ゾルグがあっけらかんと言う。

「使うったって・・。」

自分の能力がどんなもので、どう扱ったらいいのかすら分からないのに使える訳がない。

「モンスターって言っても種類によって倒し方が違うから無理ですよ?一気に倒すなんて・・。」

「それもそうか・・。」

ロキの言葉に妙に納得する。

「一気に倒すことは無理かもしれないけど・・力を弱めることならできるかもしれないわよ?」

エレインの言葉にルカは顔を上げた。

「どうやるの?」

107

「10年前の大地震で、地下に変動があった。そして一時期、モンスターが大繁殖した。しかも奇形の。」

「!!」

「処理が早かったために、そのモンスターは捕らえられ、同じく火で燃やされて、箱に封印された。でも数匹は既にここから居なくなっていたらしく、捜査したが見つからなかった。」

ロキの言葉で繋がった。

「それだ・・。」

思わず呟く。

「ん?」

「ダークが言ってたろ?10年前、人間界で異変が起こったって!そのこと言ってたんじゃないのか?大地震が起こってモンスターが繁殖しすぎた・・。」

「あ・・そうか・・。」

ロキは今気づいたらしい。

「あの時の魔物はやっぱりその地震後に出てきたモンスターだったのか・・。じゃあ・・さっきマリアたちが感じてた負の妖気ってのも・・。」

「もしかするともしかするかもしれない。しかもとんでもなく厄介な魔物。」

ロキが呟く。

「ホントに厄介だわ。」

エレインが苦笑する。

「え?」

「一匹どころじゃないわよ。これ。」

「えぇ!?」

106

どれくらい走ったのだろう?

建物内は危ないと、外に出たのはいいのだが、何処が安全な場所なのかさえ分からない。

その時、背後で大きな音がした。ガラガラとさっきまで居た建物が崩れていった。

「間一髪ってとこか・・。」

ゾルグが呟く。一同、ホッと胸を撫で下ろした。

何とか走り続け、小高い丘の上に避難した。マリアとエレインはさっきの負の妖気を探っていた。

「ねぇ、ロキ。さっき言ってた『漏れ出した』って言うのはどういうこと?」

「あぁ。古い言い伝えとされてることなんだけど。」

そう言って話し始めた。

「その昔、この地上は魔族と人間が住んでいたんだ。これは本当で、秩序が乱れるからと、ある時魔族が引き払ったために今みたいに魔族と人間の交流は少なくなったんだが、その魔族がこの世界を出て行くずーっと前。ある時モンスターが繁殖しすぎて、魔族や人間を襲い始めた。人間や魔族を食べたモンスターは成長して、どんどん巨大化して行った。」

ロキの話を聞いて、旅の途中で襲ってきたモンスターを思い出した。魔族のダークを体の中に取り込んだまま、9年も人間を食らってきたモンスター。あれが何だったのか、今でも分からない。

「そのモンスターを倒すための特殊部隊が組まれたんだ。数々の難関をクリアしてきた精鋭を集めて、モンスター狩りをした。数人の犠牲者を出したものの、結局モンスターを倒すことができたんだ。その亡骸は、火で燃やした後、箱の中に入れられ、魔法で厳重に固められて土に埋められたんだ。」

「何でそこまで・・。」

「復活してくるかもしれなかったからだよ。どんなモンスターなのかよく分からなかったからね。」

「じゃあ・・『漏れ出した』って言うのは・・。」

「10年前、この地域で大きな地震があったんだ。」

「10年前・・。」

ダークが言っていたことと関係あるんだろうか?

ルカは興味を示した。

105

「こっちです!」

衛兵に先導され、逃げている途中、マリアは何かを感じ取った。

「何か・・とてつもなく大きな負の妖気が・・。」

「負の妖気・・?」

マリアの呟きにルカが問いかける。

「えぇ。今までになくとても巨大な。」

「そうね。私も感じるわ。」

エレインが同意する。

「さっきの地震のようなものは・・それが漏れ出したのかもしれない。」

ロキが呟く。

「漏れる?どゆこと??」

「とりあえず安全な場所へ。そこで話そう。」

安全な場所があるのかどうかは分からない。

静か過ぎる夜は、これから起こる嵐の静けさのようで、ルカは身震いした。

「大丈夫か?」

ゾルグがルカに声をかけた。

「うん。」

心配をかけぬように笑ってみせる。弱音は吐かないことにした。もし口に出せば、崩れてしまうかもしれない。

ルカはこれから何が起こっても動じないように再び心に決めた。





まぁ何気に108話までは書いてみましたよ(´m`)

しばらく連続更新ですよん(´∀`*)ウフフ

104

ルカは窓の外に浮かぶ月を眺め、今までのことを考えた。

この旅で出会った人たち。この世界を終わらせようとしている自分をどう思うのだろうか。

何とも言えない感情が湧き上がってくる。

本当はどうしたいんだろう。新しい世界なんて本当に作れるんだろうか?

頭の中にぐるぐると回る疑問。答えなんて出ない。



何時間経ったんだろう。もうずっと月を眺めている。

ふと月が動いた気がした。

「え?」

目を疑った。月が動くなんて。しばらくして気づいた。月が動いたんじゃない。地上が動いたんだ。

「な・・なんで・・。」

疑問が浮かんだ。どうして動いているんだ?地震とはまた違う。揺れているんじゃない。明らかに動いている。

しかししばらくすると、揺れは収まった。

「・・な・・何だったんだ・・?」

ルカが疑問に思っていると、ゾルグ、ロキ、エレイン、マリアが部屋に入ってきた。

「ルカッ!無事か!?」

「あ・・うん。・・でも今のは・・一体・・。」

「分からない。今衛兵が外の様子を・・。」

ロキがそう言い掛けたとき、慌しく衛兵が飛び込んでくる。

「お逃げください。早くっ!!」

「一体どうしたんだ!?」

「説明している暇はありません。早く!!」

衛兵に急かされ、ルカたちは部屋を出た。





やっと最後に向かって動きだ出したよ・・( ;´・ω・`)

103

「自己中心的なのかもしれないが、守りたいものを守ることに力を使えばいいんじゃないのか?」

ゾルグの言葉はもっともなように思えた。

守りたいものなら、ある。一緒に旅をしてきたマリア。ずっと一緒に居てくれたロキ。そしてその二人の大切な人、エレイン。更には血の繋がった本当の父親ゾルグ。

今、自分が守りたいもの。

でもそれって不公平じゃないのか?自分が守りたいもの以外の人間はどうなってもいいなんて、思えない。

「まぁ、今は食事にしよう。色々あってお腹も空いただろう?」

ゾルグは目の前に用意された食事に向き直った。ロキたちも食事の席に着いた。

「どうした?ルカ。食べないのか?」

「ごめん・・。俺ちょっと考えたいから食事いいや。」

ルカはそう言って自分に与えられた部屋に戻った。





うん・・もぅホントごめんなさぃ・・。

102

「思い出して!!」

「そう言われても・・。」

エレインは困り果てていた。

「ルカ、とりあえず夕食を取ろう。それからでもいいだろう。」

ロキがルカの肩に手を置き、優しくそう言った。

ルカはコクンと頷き、皆と一緒に夕食を取る事にした。



ゾルグはもうすっかり良くなっているらしく、既に席に着いていた。

「お待たせしました。」

ロキが挨拶をする。ゾルグは気にするなというように手を振った。

「探し物は見つかったか?」

ゾルグに問われ、ルカは首を振った。

「そうか。」

ゾルグは置いてあった食前酒を飲んだ。

「ルカの気持ちは分かるよ。誰も傷つけたくないということも。でもそれって無理なことかもしれない。」

ゾルグの言葉に、ルカは膝の上で拳を握った。薄々は感じていた。犠牲を誰も出さずに、世界を変革させようなんて無理なことなのかもしれない。だとしても、何か方法があるんじゃないかと、必死で探した。諦めたくなかった。

「本当に・・本当に諦めるしか・・ないのかな・・。」

呟くように言った。

「それならいっそ・・こんな力なんて要らなかった・・。」

ルカは泣き出しそうな声で呟き、自分の両手を見た。男を一瞬で灰にしてしまったことがフラッシュバックする。

「ルカ。」

ゾルグは震えるルカの肩を抱いた。

「その力は何のためにあると思う?何かを壊すため?何かを守るため?」

そう言われ、ルカはふと考えた。

「何かを守るために力を使えばいいんじゃないのか?世界を変えるとしても、何かを守りたいって気持ちはあるんだろう?」

そう言われ、ルカは顔を上げた。心配そうに見つめるマリア、ロキ、エレインが目に入る。

「守りたい・・もの・・。」

「自己中心的なのかもしれないが、守りたいものを守ることに力を使えばいいんじゃないのか?」







・・・中途半端で切ってみよう・・・(コラ